脱ヒエラルキーからのヒエラルキーが形成されつつあるキャンプギア業界
趣味の世界には一部ユーザーが形成するヒエラルキー(階級、格付け)というものが存在することが多く一番わかり易いのは車や時計、カメラの世界でしょうか。
車の場合はメーカーの格付けだけではなくグレードによってもマウンティングが横行していると聞きます。
例えば一昔前で言えばラグジュアリーブランドとして展開しているアウディがベンツやBMWオーナーから格下だどうだとやり合いをネットでしているのをよく見ました(今はどうなんだろ?)
時計に関しては車よりもマウンティング行為が激しいかもしれません。
時計は歴史、生産国、ムーブメント(動かす機械ね)、価格など様々な部分で格付けがあります。難しいのは「価格」が格付けの中ではあまり重視されないというところ。
100万円のブライトリングをつけていても50万円のロレックスにマウントを取られる、という現象が起こったりします。この場合、価格よりもムーブメントが重視されている、ということです。
カメラに関して。カメラはニコンキヤノン、フルサイズやAPSC、レンズなどメーカーやセンサーサイズ、レンズの性能でのマウンティングが行われます。
例えばレンズで言えば「大三元」「小三元」と呼ばれるカテゴリがわかりやすいです。
大三元とはF2.4通しのズームレンズ群のことを一般的に指します。
小三元はF4通しのズームレンズ群です。
何を言ってるかわからないという人は要するに小三元群より大三元群の方が高価と思ってればOKです。
このようにそれぞれの趣味には少なからず「ヒエラルキー」というものが一部ユーザーによって形成されています。
がしかし!近年これら界隈に脱ヒエラルキーというブレイクスルーが巻き起こりました。
車の世界で言えば
フェラーリ何台も買えるような金持ち海外セレブもあえてプリウスに乗ったり一時してましたよね。要するに「高くて速い車」のヒエラルキーから脱した「エコ」という概念が大きくなりました。隣にポルシェが並んでも「あえてプリウスを選んでいる」ということでマウント回避可能になりました。
時計の世界で言えば
ロレックスやパテック、ランゲが並んでいる中でも「俺iPhoneだからどうしてもApple Watchが便利で最近はこればっかりだよ」ということでマウント回避可能になりました。
カメラの世界で言えば
ソニーのフルサイズ機
カメラといえばニコン、キヤノン。フルサイズ一眼レフカメラ、がヒエラルキーのトップでした。(とりあえずライカやハッセルは置いておきましょう)
パナソニックやオリンパス、ソニーが力を入れていたミラーレスカメラはまだまだプロの世界では力不足だったため、ヒエラルキーのトップに立つことはありませんでした。
そこでブレイクスルーしてきたのがソニー。ソニーが初めてフルサイズミラーレスカメラを世に出しました。その後ブラッシュアップをし続けてミラーレス機の弱点をどんどん克服しプロカメラマンの間でもソニーのフルサイズミラーレスを使用する人が増えてきたそうです。こうしてカメラ界隈も古くからのヒエラルキーが崩壊しました。
こうして趣味世界の代表的な車やカメラ、時計の世界が脱ヒエラルキーを近年行ったのに対しではキャンプギア業界はどうなのでしょうか?
キャンプ業界にもマウント合戦は当然存在します。よく聞くのがピーカーと呼ばれる一部スノーピークマニアによるマウンティングですね。
ホムセンブランドと呼ばれるキャプスタやロゴスが高級ブランドのスノーピークと比較される、という話をよく聞きます。
しかしキャンプギア業界にも脱ヒエラルキーが近年見られるようになってきました。
それが
テンマクデザイン・DOD
というブランド・メーカーの台頭です。
テンマクといえば
サーカスTC
発売当初はノルディスクのアルフェイムとよく比較されたりしてましたが今やサーカスTCはヒエラルキー外の無二の存在として確固たる地位を築いている感があります。
DODは奇抜さが売りだったドッペルギャンガーアウトドア時代から大きくイメージ転換を行いインスタ映えというブームをうまく取り込んだおしゃれさで伸びています。
代表的なものが
カマボコテント
かまぼこ型テントといえばヒルバーグが有名ですがあちらはガチの過酷な環境やスペックに特化したメーカー。DODはその形だけインスパイアしスペックは割り切り手に届きやすい価格と便利な使い勝手、そしておしゃれさで勝負。
その結果これらは既存のヒエラルキーから脱し、独自の地位を獲得。
そしてここからは現在進行系、というか未来の話になるのですがこのテンマクやDODが築いた独自のカテゴリに新たなヒエラルキーが出来ようとしてきています。
それはテントファクトリーやハイランダー、フィールドアといったメーカーやブランドがかなりテンマクやDODを意識したギアを展開してきているように見えるからです。
例に取るとテンマクのサーカスTCを頂点としたヒエラルキー。DOD、テントファクトリーやフィールドアがこぞってTC素材のワンポールテントを発売。ヒマラヤスポーツのPBであるビジョンピークスも実は以前からTC素材のワンポールを発売しています。
ハイランダーに関しては少しまた異なりテンマクやDODが起こした「プアマンズ」を「おしゃれ」「恥ずかしくない」ブームをそのまま受け継ぎカーミットチェアやヘリノックス風の安価で質の良いギアを展開し、「別注」という形で既存メーカーのギアをおしゃれに展開。このハイランダーもかなりこれからも面白くなりそうで目が離せません。
その中でも現在進行系で一番面白くなりそうなのがフィールドアですかね。明らかに去年までとは方向性が違う商品展開をしてきていると思います。
キャンプといえばコールマンという時代からスノピ、小川という質を重視したメーカーの台頭。そして海外ブランドへの憧れ。ここまで時間をかけて形成されたヒエラルキーを一瞬で脱したのがDODやテンマク。そしてそこからまた新たなヒエラルキーがフィールドア等によって形成されつつある、という見方によっては戦国時代のように面白い構図が現在繰り広げられています。
これからの動向をこんな楽みかたしても面白いと思いませんか?という今回の記事でした。
Twitterやってます。
フォローよろしくです! → @ZsQHLWcYhArbbfS